十二消長卦は陽と陰の変化を示す卦です。変化の書と呼ばれている易経を読み解くうえで、基本となりますので、必ず頭に入れておくと良いでしょう。
十二消息卦、辟卦(へきか)とも呼ばれますが、ここでは、十二消長卦に統一します。今回は、この十二消長卦を簡単に解説いたします。
易経・易占を学ぶうえで、易が陰と陽で出来ていることは、すでにお分かりのことと思います。
今は、その陽が長じていく時なのか、陽が消えていく時なのか、卦には一定のリズムをもっています。分かりやすく季節で例えられるのでよく解釈できます。一年には、春夏秋冬の四季があり、一日には、朝昼夜があります。
卦の動きを見ていると、月の満ち欠け、上弦下弦にもどこか似ています。
十二消長卦はこの陰と陽が増えたり、減ったりする動きを表していて、陽が下から長じていく卦を発展、陰が長じていく卦を衰退として判断します。
どんどん上がっても、また下がるという繰り返しは、自然の行いです。いい時期が長く続くと思いがちですが、自然界にはこういう変化があります。それをみて、人間は調子に乗ると乗りすぎて、有頂天になる傾向にあるので戒めています。運気も上手くいかないときは、とても長く感じますが、上手くいっているときや楽しいときはあっという間に過ぎてしまいます。しかし、この十二消長卦の循環を知っていれば、悪い時期もいずれいい時期がくると、心の余裕が出てくるものです。
また、易占術として、一般的には旧暦の月に当てるこのようになります。
地雷復 11月
地澤臨 12月
地天泰 1月
雷天大壮 2月
澤天夬 3月
乾為天 4月
天風姤 5月
天山遯 6月
天地否 7月
風地観 8月
山地剥 9月
坤為地 10月
陽気が極まると次は、夏至に一陰が生じ、日が短くなります。陰気が徐々に盛んになり陽気は消滅していきます。旧暦11月は現在の12月です。その冬至に一陽が生じ、陽気が徐々に盛んになって日が伸びていくところから、☷☳地雷復の卦が当たっているのが分かります。昔は冬至が現在の大晦日にあたっていました。来年一年の運勢を易で占う、いわゆる年筮を行う人が多いのもこういったなごりがあるのです。
東京・早稲田にある穴八幡宮様で有名ないわゆる「一陽来復」のお守りに書かれているこの言葉は易経の地雷復が語源とも言われているのはこういった理由からだったのです。
「人生山あり、谷あり」「人生は折れ線グラフ」などと昔から言われてきましたが、あらためて入門して易経で十二消長卦を学ぶと、好不調の波や社会の動向がつかみやすくなります。この易経を読み進めていくと、深い思想のなかに、自然界の循環律や宇宙論、運命論を易経のなかから見出すことができます。もちろん、その中心核にはあなたが、存在します。自分の探求の旅とも言えるでしょう。そして、単なる観念論ではなく、占いとしても広がり、易占としても活用できます。易占がない、易経は、魅力も半分です。易経と易占との両車輪で、易学だと思います。
私たちは、時間と空間の現実世界で存在していますから、様々な問題に直面します。そんな時に、易占は頼りになります。このコラムを読まれているあなたに、易経・易占とのすばらしいご縁がありますように。
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日本易学振興協会のサイトの管理運営担当です。まだまだ易占、易学の修行中、精進してまいります。伝統ある筮竹を使う周易を次の時代へつないでいきたいと思います。